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クロエ長財布サム編集

「でもね、これでわたしも一人前の吸血鬼になれたみたい。  今夜の食事はわりと楽しかった。今まではただ寒くて痛いから血を吸っていたけど、段々とコツがわかってきて面白くなってきたんだ。  志貴くんならわかるでしょう? あなたはわたしなんかより、もっと上質な人殺しなんだもん」 「な————」  なに、を。  なにを言っているんだ、弓塚、は。 「わたしはずっとあなたを見てきた。だからあなたの優しいところも、恐いところもちゃんと分かってた。  わたしがあなたに話しかけられなかったのはね、志貴くんの恐いところがなんなのか解らなかったからなんだ。  でも今なら解る。あなたはわたしと同じだもん。  憎いとか好きだとかいう感情とは関係なく、誰かを殺したいって思うんでしょう?」 「ふざ———ける、な」  そんなこと、俺は今まで一度だって思ったことはない。 「ふざけてなんかないっ! わたし、志貴くんがもってる脆い空気がなんなのか解らなかった。けど、こんな体になって理解できたんだよ。  志貴くんはね、ただそこにいるだけで死を連想させる。  世の中には稀に生まれついての殺人鬼がいるけど、その中でもあなたは生粋の殺人鬼だわ。  わたしね、昨日は嬉しかった。こんな体になって、初めてよかったなって思えた。
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