クロエトートバック
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null「申しわけありませんでした」  ボーイがどぎまぎしたように牧原にあやまった。 「気にするな」 「なんだ、つまんないの」  未知が唇を尖《とが》らせた。 「センセーのカッコいいとこ見られると思ったのに」 「勝手にいってろ」  牧原はいい、菅野のいるテーブルに歩みよっていった。  牧原が近づいても、菅野にまったく変化はなかった。そしてボーイの言葉通り、ひどい悪臭が菅野からは漂い出していた。 「わあ、くさい!」  牧原のあとをついてきた未知が顔をしかめ、小声でいった。牧原はふりむいた。 「帰れ」 「なによ、センセー。冷たいじゃん」 「帰るんだ。さもないと停学にして、親もとに連絡するぞ」 「ひっどーい。そんなのってないでしょう。彼がここにいるの、教えてあげたの、あたしなんだよ」 「菅野は病気なんだ。すぐ入院させなきゃならん」  牧原がいっても、菅野はまったく態度をかえない。 「病気って、何の病気?」